Rare Disease Day 2011開催報告
イベント名: Rare Disease Day 2011「世界希少・難治性疾患の日」
開催日時: 2011年2月28日(月) 9:00 ~ 21:00
場所: 丸の内オアゾ 「OO(おお)広場」 東京都千代田区丸の内1-6-4
主催:特定非営利活動法人 知的財産研究推進機構(PRIP Tokyo)
協賛:ジェンザイム・ジャパン株式会社、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
後援:日本難病・疾病団体協議会(JPA)、難病のこども支援全国ネットワーク、厚生労働省、National Organization for Rare Disorders(NORD)、日本製薬工業協会、東京大学 先端科学技術研究センター
当日スケジュール:
2011年2月28日、日本で2回目となるRare Disease Day(世界希少・難治性疾患の日)を開催いたしました。
Rare Disease Day(以下、RDD)は、希少・難治性疾患の患者さんのより良い診断や治療による生活の質の向上を目指してスウェーデンで2008年から始まった活動です。日本でもRDDの趣旨に賛同し、2010年2月28日に第一回目のイベントを開催し、300名を超える参加者によって積極的な意見交換がなされました。
日本での開催2年目となる2011年は、社会における希少・難治性疾患の認知度をより一層向上させることを目標として掲げ、東京駅近くの丸の内オアゾの開放的なスペース「〇〇(おお)広場」を会場とし、希少・難治性疾患を知らない人でも気軽に参加できる場を提供しました。また、同日、サピアタワー 8F PRIP Tokyoオフィスでは、疾患、活動内容、立場が異なる関係者に新たなネットワークを構築してもらうことを目的とした交流会を開催しました。
事前の広報活動としては、チラシ約10,000枚、ポスター約500枚を大学、小学校、病院、患者会、地域コミュニティーおよび本企画関係団体などへ配布しました。また、ホームページ(http://www.rarediseaseday.jp/)を作成し、インターネット上での広報も行いました。
当日の来場者数は約750名と、私たちの予想を上回る大勢の方々に来場頂きました。丸の内オアゾ入口からも見える場所に配置した大きな看板やカセットプラントのオブジェは、当日たまたま通りがかった方それらを見てふらりと立ち寄られるなど、当初期待していた一般の方に希少・難治性疾患の存在について知っていただくという目的の達成に大きく寄与しました。また、展示パネルを通じて知識を得ていただいたり、カセットプラントのワークショップに参加したりすることで、親近感を深めていただくこともできました。結果として、様々な立場の方々がマイRDDメッセージを残してくださり、事前にいただいていたメッセージとあわせて一層の相乗効果を生むことができました。「患者の生の声」企画では、夕方の時間帯に設定したということもあり、100名を超える聴衆が集まり、ゲストの声も届かないほどの大盛況でした。会社帰りのビジネスパーソンをはじめ、近くを通りかかった多くの方が足を止めて、患者さんの声に耳を傾けるなど、多くの方に希少・難治性疾患について知って頂く機会になりました。
また、当日は新聞・雑誌社、テレビ局をはじめとする複数のメディアの取材を受けました。さらに今回は、Ustreamを利用したインターネット中継により、当日来場できない方々とも会場内の様子を共有しました。
今回はPRIP Tokyoが主催した東京でのイベント以外にも、札幌・八戸・三重・京都でも、患者会・地域難病連らが主催したそれぞれ独立にRDDのイベントが開催されました。RDD2011ではよりオープンなイベントを目指しましたが、このような各地域でのイベント開催や、ネット中継をみてくださった方々の協力を得ることができ、この目的も徐々に達成しつつあると言えます。各地域の当日イベントの内容につきましては、下記ページにて紹介されています。
http://www.prip-tokyo.jp/events/article/Rare_Disease_Day2011
次に、実施した各企画について、当日の内容を報告いたします。
■パネル展示・映像放映
【目的】希少・難治性疾患を取り巻く環境、政策、新薬開発の現状を紹介することで、希少・難知性疾患に対する認知、理解を深めてもらうことを目的としました。今回は前回の経験を踏まえて、一般の方に興味を持って頂けるように、「健康」という入口から入るような構成にしました。また、会場内の二つのモニターを利用し、昨年RDD2010の様子をまとめたDVDを繰り返し放映しました。
【概要】本企画では、希少・難治性疾患を取り巻く環境、政策、新薬開発の現状をパネルの展示によって紹介しました。パネルスペースは入り口付近に設置したこともあり、開場後から常時多くの来場者がパネルを熱心に見ていました。今回、希少・難治性疾患のことを初めて知ったという方から、高度に専門的な内容について質問される方まで幅広い参加者に関心を持ってもらいました。また、パネルの内容をカメラに収める方や、パネルのデータを欲しいという方がいらっしゃるなど、希少・難治性疾患に関する関心の高さを伺わせました。なお、パネル資料はPRIP websiteからダウンロードすることができます。
■カセットプラント
【目的】本企画は、多くの方から共感を得られる現代芸術をRDDの入り口とすることによって、より一般の方の参加を促すことと、患者さんや一般参加者を含めた参加者全員が一流の芸術家とともに共に一つの作品を作り上げることで、参加者の間の壁をなくし、お互いが一体感や親近感を感じてもらうことを目的としました。
【概要】カセットプラントは、日本を代表する現代芸術家のひとりである山口啓介氏の作品で、カセットケースに花と天然樹脂を封じ込めたものを、透明なアクリルケースやガラス面などに特殊な両面テープで貼り、積み重ねた作品です。本作品は、コハクに封じ込められた動植物をイメージの源としており、種や大切なものを未来へ伝える方舟がイメージされています。花と樹脂が封じ込められた個々のカセットも美しいのですが、それを積み重ねた作品は、また新たな美しさを表現しています。このカセットプラントのコンセプトは、希少・難治性疾患一つ一つは小さくても患者さんがおり、その意思が集まることで力を発揮するというRDDのコンセプトと類似の概念を共有している(アナロジー)と捉えることができます。また、本作品はワークショップでの作品の作成そのものが非常に簡単であり、様々な年齢の一般参加者はもとより、体に不自由を抱える患者さんでも広く参加できることも非常に有意義であり、これらのことから、カセットプラントはRDDに非常に適した芸術作品であるといえます。
当日は、イベント開催中を通して生花を使っての作成に加え、山口啓介氏が延べ数十名のスタッフによりイベント1ケ月前から準備したドライフラワーを用いて作成した、カセットプラントの小品3台も展示されました。当日のワークショップ用には、今回のイベントのために屏風型に組み合わせたアクリル製の筐体を設置し、参加者のみなさんによって多数のカセットが貼りつけられました。
【感想】企画側の目論見通り、大人から子供まで、そして患者さんから一般参加者まで、非常に多くの方々にご参加いただき作品を完成することができました。また、ワークショップ用の筐体を会場前面に設置したこともあり、開催中にはカセットプラントに興味を持って会場入り口まで来られ、スタッフによるワークショップへの誘いによって入場された方も少なくありませんでした。できあがった作品も非常に美しく、参加者のみなさんが一体となれたRDDの成果を象徴するものとなれたのではと感じられました。
■メッセージボード
【目的】本企画は、来場者だけではなく、会場に来られない方にも、希少・難治性疾患を「知る」ためのアイデアを出してもらうために、希少・難治性疾患について少しだけ能動的に「考えて」もらうことを目的としました。また、RDD宣伝をデザインしたノベルティ(携帯体温計)を渡して、啓蒙活動を広げることも意図しました。
【概要】イベント前に、website内に「マイRDD」ページを掲載し、「マイRDD」を募集しました。当日、会場に足を運んでくれた方にそれぞれの「マイRDD」「メッセージ」を円形の用紙に記入してもらい、事前に集まった「マイRDD」と共に、会場内と会場前の柱にあるメッセージボードに掲示しました。カセットプラントワークショップに参加し、メッセージを記入、掲示してくれた方には、ノベルティグッズとして携帯体温計を渡しました。
当日は、来場者のほとんどの方に、メッセージを記入していただき、会場内1面・柱2面のメッセージボード計3面が、来場者からの希少・難治性疾患に対するメッセージや、希少・難治性疾患を広める、知るためのアイデアで埋め尽くされました。ノベルティグッズの携帯体温計も、皆さんに関心を持っていただくためのインセンティブとしてよく働いたと思います。
■患者の生の声
【目的】本企画は希少・難治性疾患の患者さんに自身の病気、治療、日常生活について等をお話頂くことで、RDD参加者に希少・難治性疾患の理解を深めてもらうことを目的としました。本企画のテーマを「知る、そしてつながる」とし、希少・難治性疾患の大変なこと、苦痛なことを分かって頂く会ではなく、患者の当たり前の生活を知って頂く会という主旨が本企画の大きな特徴です。また、今回はより広く希少・難治性疾患について知ってもらうため、患者自身に加え患者の家族の視点も交えお話頂きました。
【概要】今回はPRIPメンバーがファシリテータを務め、患者さんと、来場者との対話形式で約40分間のセッションを2回実施しました。以下6名の方々に患者の声をお話頂き、ご自身の病気が診断されるまでの経緯、症状が出た時の気持ち、現在の症状や治療法についてご自身の言葉でお話頂きました。当日は平日にも関わらず、約130名という大勢の方々に来場頂き、一言も聞き逃さないよう患者の声に真剣に耳を傾ける姿には、お話いただいた患者さん、スタッフが圧倒されたほどでした。会場からの積極的な質疑からも希少・難治性疾患への関心が少しずつ高まっている様子が伺えました。
【患者の声参加者】
・恒川礼子さん:全国筋無力症友の会
・はむろおとやさん:下垂体患者会の会
・木村香織さん:血管腫・血管奇形の患者の会
・嶋津恵美さん:CAPS患者の会
・福原由佳さん:日本網膜色素変性症協会
・遠藤博之さん:ウェルナー症候群患者家族の会
【感想】当日は平日の夕方であることに加え悪天候にも関わらず、大勢の方々に来場頂きました。当初はオープンな会場での実施に不安を抱いていましたが、患者側からは「自分達が話すことで病気のことや日常について知ってもらえてよかった」、来場者からは「患者さんが普段思っていることを知る貴重な機会だった」との感想を頂き、本企画が「知る」ことでつながる場となったように思います。また、来場者が各々に患者の声で感じたことや思いをメッセージボードのコーナーに残してくださり、RDDの輪が少しずつ広がっていくエネルギーを感じる会でした。
■Ustream
【目的】本年のRDDは、昨年以上にオープンで広がりをもったものにすること、一般の方により広く知っていただくこと、PRIP企画以外での(患者の手による)RDD開催を進めることが大きな目標でした。その観点から、インターネットを介して手軽に生中継が可能なUstreamは、当日来場できない方や一般の方々に会場の様子をリアルタイムにお届けすることができる上、開催中、会期後も録画により会場の様子を共有することができる格好のツールであると考えられたため、今回初めて取り入れることとしました。
【概要】今回初めての企画であった上、今後の拡大を目論んだ実地試験も兼ねて、今回は小規模の放送を行うこととしました。朝9時から夜9時まで12時間の会期中、5回にわたって放送を行いました。うち10:00、14:30、19:00開始の3回は10分間の会場の説明を、12:30、16:30開始の2回は10分間の会場説明に加えカセットプラントにご協力いただいている山口啓介氏のトーク約20分を続けて放送しました。放送は事前に原稿を準備し、レポーター役のスタッフによる実況形式で行いました。12:30開始の回で無線LANへの接続にトラブルが発生し、番組の開始が1時間遅延しましたが、それ以外に目立ったトラブルはありませんでした。本放送に対して事前に一部の患者団体より彼らのRDD2011企画での利用の申し出があり、リアルタイムではありませんでしたが離れた場所でオアゾ会場の様子が共有されました。また最終回の放送後には、参加者のインタビューも(その場での許諾を得て)試験的に撮影・放送しました。
【感想】本企画は、RDD2011の大目的である、昨年以上にオープンで広がりをもったものにすること、一般の方により広く知っていただくこと、PRIP企画以外での(患者の手による)RDD開催を進めることのすべてを可能にする重要な企画となりました。初めての実施ということもあり、大々的な広報は行わず、JPAを介した患者会への広報にとどめましたが、実際、リアルタイムに放送を見た方に加え、患者団体の主催するRDDでも放送を企画として使用されるなど、想定通りの成果が確認でき、来年以降のRDDの方向付けを明確にできたと考えています。一方、本企画は会場に向けての説明も兼ねた企画でしたが、撮影用にビデオカメラを使用していたことから、会場の参加者側には企画説明としての意図が伝わりにくかったと考えています。
■RDD2011交流会
【目的】本年は希少・難治性疾患に関する知識のない方を対象に「丸の内オアゾ」でイベントを開催すると同時に、希少・難治性疾患患者の生活の質の向上を共通の目標としている一方で、対象疾患、活動内容、立場が異なる関係者に新たなネットワークを構築してもらうことを目的とした交流会を開催しました。
【概要】本交流会では話題提供者の方2名に参加者にとって関心が高いと予想される話題を提供していただき、参加者にはその話題を軸に議論、対話を展開して頂きました。加えて、アルコール飲料、軽食を提供するなど、より気軽に対話できる場を演出しました。
日時: 2011年2月28日(月)12:00 ~ 16:30 場所: サピアタワー 8F PRIP Tokyoオフィス
【当日の様子】当日は13時過ぎから20名程度の参加者が来場し、交流会の間も参加者が増え、最終的には30名以上が参加する盛況な会となりました。一部の参加者は用意した軽食のパン、おにぎりなどを手にし、また数名の参加者はアルコール飲料を飲むなど、話しやすい雰囲気の中、交流会は進行しました。
PRIP Tokyo安念、西村の開会の挨拶の後に、参加者に自己紹介をしてもらい、互いの所属、名前、普段の活動を共有しました。希少・難治性疾患の当事者にとどまらず、支援団体、製薬企業、医師、メディア関係者、行政担当者など、様々な立場の参加者が集ったことを実感するとともに、ネットワークを構築したい対象を見つける機会を提供することに成功しました。
遠位型ミオパチー患者会の織田友里子さんからデンマーク留学での体験談を話題提供して頂きました。途中参加者による自己紹介を済ませた後、難病の子ども支援ネットワークの小林さんにこれまでの20年以上に渡る活動を振り返っていただきました。
<Rare Disease Day 2011を振り返って 今後の展望>
今回、日本で2回目となるRare Disease Day 2011「世界希少・難治性疾患の日」を開催することができました。本イベント開催につきまして、協賛企業、後援団体をはじめとする多くの方々の深いご理解とご協力を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。
今回のRDDは、平日の月曜日であり、雨の降る大変寒い天候であったにもかかわらず、約750名と予想を大きく上回る多くの方に来場していただくことができました。このことから、今回のイベントが今まで希少・難治性疾患を知らなかった多くの方に知ってもらうきっかけになったのではないかと考えております。また、1回目から継続的に行っている企画に加え、今回新たにUstreamや当日のチラシ配布等、RDD2011のコンセプトを広げる新たな試みにも挑戦しました。
今後RDDが全国各地で毎年継続していくイベントとなり、さらなる希少・難治性疾患の認知度向上と、希少・難治性疾患の患者さんのために診断・治療が進歩していくことを願っており、我々もその一助となるべく活動を継続していきたいと考えております。
特定非営利活動法人 知的財産研究推進機構(PRIP Tokyo)
文責 加賀 大輔(Rare Disease Day2011 実行責任者) 西村 由希子(PRIP Tokyo 理事)