本シンポジウムの対象となる希少・難治性疾患の領域は、各疾患の患者が非常に少ないことから、研究や創薬、社会などから取り残される傾向がありました。しかしながら、これらの希少・難治性疾患全ての患者数の総和を考えると人口の数%にもなり、決して無視できない存在であると考えられはじめております。また、近年の疾患基礎研究の進展から、これら希少・難治性疾患が、患者数の多いいわゆる”コモンディジーズ”と病態生理を共有していることや、コモンディジーズそのものが、病因に基づく新たな疾患概念の提唱により、より患者の少ないセグメント化された疾患へと細分化されて行くなどの現象も現れ始めており、これまで以上に、世界の共通した医療関連の問題としてとらえる必要性が生じていると考えられています。このような環境変化の中で、世界各国の状況や研究、そして政策などの情報共有や協働が今まで以上に望まれる状況となっています。
本シンポジウムには、希少・難治性疾患に関連するすべての立場の関係者、つまり、基礎系研究者・臨床系研究者・医者・治験・開発関係者・患者・患者関係者・法制度・官公庁関係者などが、開催地だけでなく世界各国から参加するため、本領域における総合的かつ国際的な情報共有と議論を同時に実施することが可能です。また、このシンポジウムによって、これまで世界中の希少難治性疾患とオーファンドラッグに関する研究・倫理・政策・活動が促進されてきており、希少難治性疾患とオーファンドラッグに関係するすべての立場の関係者の間の潤滑なコミュニケーションと議論の促進、そしてそれによる総合的なオピニオンの形成がなされてきました。また、本シンポジウムにより希少難治性疾患とオーファンドラッグに関する国際的な議論を推進することで、治療薬創製に関する研究や関連する政策の選択などに関する協働と協調も推進されてきています。さらに、希少難治性疾患やオーファンドラッグに関するベストプラクティスを共有することにより、この領域における共通の問題に関する国際的なアプローチやツールなどの整備を行ってきています。
これまで本シンポジウムは、ストックホルム・マドリッド・ブリュッセル・ワシントン・ローマ・ブエノスアイレスで実施されてきており、今回が初めてのアジア開催となります。これまでの本領域での国際協調は、ほぼ欧米と南米のみで行われてきており、実質的に日本を含むアジアの状況に関してはこれまでほとんど情報共有すらされてきませんでした。一方で、世界の国々は日本を含むアジアの状況に関する情報共有と協働を欲しています。そのため、今回の日本での本シンポジウムの開催により、これまでの環境にアジアを加えた真の意味での国際協調が始まると言うことができます。




